2014年7月6日(日)
「香寺ハーブガーデン」の福岡社長、ご夫妻と、大学院生4名、学部学生4名を同伴して、「姫路市夢前町 山之内地区」へ参りました。
福岡社長ご夫妻は、姫路市香寺町にハーブガーデンを30年前(1985年)に創設され、ハーブからさまざまな成分を抽出しながら、香水、石鹸、シャンプー、化粧水、芳香剤から食品を開発・販売されてきました。
ちなみに私の次男は、ハーブのさまざまなパンをとても気に入ってしまい、これから時折、香寺まで買い出しに行くことになりそうです。(その内容は4月のページにも少しご紹介しています。)
<調査の目的>
今回は、兵庫県の多自然地域(中山間地域)のなかでも、多くの集落が「限界集落」に近づき、「廃村」が現実の問題として迫る地域において、農業の6次産業化への挑戦を通じて、「若者の雇用」を創設し、都市住民との交流を通じた「むらづくり」に取り組む事業を見学に行くことが目的です。
私たちが訪問したのは、「小畑集落」です。中国自動車道の福崎インターから車で30分ですが、「この先にまだ集落があるのか?」と感じるような道を山間部に向かって走り続けるところです。
小畑集落の5名の方々とお話ができました。学生諸君は、「アユ狩り」を楽しみ、50匹を超えるアユの料理を頂きました。
<福岡氏の構想>
「香寺ハーブガーデン」では、福岡氏が取り組まれている事業について、ご講義を頂きました。
山之内小学校(廃校後)に、ハーブの加工場を作り、すでに多くの製品が研究開発、生産されています。これに加えて、「農レストラン・ショップ」「生薬加工場」「ハーブティーカフェ」「食の学校」「農の学校」などを地域にちりばめて開設します。
雪彦温泉には「宿泊施設」を増設し、夢前町山之内地区へ来られた人は、豊かな自然と、「食と医が結びついた体験」を通じて、健康になっていただきます。
自然食品としてのハーブ、山之内地区の農作物、素晴らしい自然、古代から信仰の対象となってきた雪彦山と賀野神社、急峻な山に囲まれた「パワースポット」などを活かすことで、自然の力に満ちた環境を「心身の健康」をとりもどす舞台にできるわけです。
これらの一連の構想を具体化するために東奔西走の毎日だそうです。
中山間地域での生活を持続させるためには、「雇用」が必要であり、それには「6次産業化」の事業が不可欠です。放棄された農地を復活させて、さまざまなハーブを栽培し、これを加工する「6次産業事業」がスターとしています。ちなみに、福岡氏は、35年前から、この発想で事業に取り組まれています。
<視察の感想と提案事項>
参加者には、体験調査の後に、(1)感想、(2)質問事項、(3)アイデア提案の3つの視点から発言するように求めました。
中国からの留学生たちは、「アユ」を捕まえて、食べ、スイカ割りなど、これまでの人生で初めての感動を味わいました。
学部学生からは、原生林の残る山、素晴らしく美しい河川は、最高の自然環境であるとの感想があり、昨今、ブームになっている「ヨガ」の舞台として、また、「パワースポット」と呼ばれる巨石や断崖、急峻な山と川が豊富であることから、これらをアピールすることで多くの人が集まるはずとの意見がありました。
改善点として、小畑のアユ狩りも30数年前から続けられている事業ですが、その施設や看板が色あせているので、キレイに作り直すことも必要でしょう。
そして、何よりも大切なこととして、「自然が豊か、景色が美しい」というだけでは、「何度も来たくなるわけではない」、ここに来て「もう一度会いたい」と思える人との出会いこそが大切ではないか、との意見があります。
むらづくりの求めるべきところは、やはり「人」「人物」です。
昨今、「おもて、なし~!」と奇妙に響く言い回しは、東京へのオリンピック誘致を目指したパフォーマンスで多用された言葉ですが、多可町の観音寺集落でも、この言葉については好きにはなれないとの感想を聞いています。私もこの言葉が日本文化を象徴するかの報道には疑問があります。繰り返し放映される「おもてなし!」という言葉に、媚びへつらうような響きがあるからです。
むしろ、ある地域を訪問して、もう一度、行きたいと思えるのは、そこにもう一度会いたい人との出会いがあったからではないか。
もう一度、会いたい人とは、「地域への誇りと思いやり」のある人だと思います。「凛とした」「筋の通った人」は、立ち居振る舞いや言葉遣いで感じ取れます。要は、一生懸命に、誠実に生きている人は美しく、刺激をうける人です。
小畑の集落の皆さんには、凛とした緊張感と、楽しみ、誇りが感じられます。その意味で、私もまた「アユ狩り」に行きたいと思うのです。
<ASABANプロジェクトとの連携>
小畑集落で、多可町八千代区中野間の門脇織物さんと取り組んでいるASABANプロジェクトにも参加していただいています。
今回の視察目的の一つに、亜麻の栽培状況の確認がありました。
小畑集落で栽培されている、亜麻の丈は、1メートルを超えて、種もたくさん実っています。8月初旬が収穫の時期になりそうです。
亜麻の実からも「亜麻仁油」がとれます。亜麻の茎から「麻の繊維」をとりだし、ASABANプロジェクトの織物になります。有機・無農薬で栽培する国産の亜麻を、手間暇のかかった高級織物に育てることが目的です。
多可町と夢前町は車で40分程度の距離にあります。
兵庫県のなかで、6次産業化をめざす地域の間での交流と協力関係を育むなかで、互いに学び、連携するという大きな可能性を見出すことができます。
それにしてもやることが多すぎます。
仲間を増やす努力が必要だと感じるこの頃です。
貴重なプロジェクトに参加させていただき、感謝致します。
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